キヤノンが中国・広東省中山市のプリンター工場「キヤノン(中山)事務機」の稼働を2025年11月21日に停止しました。2001年の設立から24年間続いた工場の歩み、中国レーザープリンター市場でのシェア変化、海外向け生産への特化、従業員への補償と再就職支援の内容を、公開情報にもとづいて整理しています。
キヤノン中山工場
24年で稼働終了
キヤノンが、中国・広東省中山市にあるプリンター工場「キヤノン(中山)事務機」の稼働を、2025年11月21日で止めました。
2001年に設立されてから24年間、レーザープリンターなどの生産拠点として動いてきた工場です。
紙を使う機会が減ってきたことによるレーザープリンター市場の縮小にくわえ、中国ブランドが存在感を高めたことで受注が減り、工場としての運営がむずかしくなったと説明されています。キヤノンはこれまで生産体制の見直しや調整を続けてきましたが、工場の稼働を続けることはできないと判断しました。
工場の従業員には、退職金や再就職支援を含む補償が案内されています。一部の従業員は、SNSに「労働関係終了(解除)証明」の写真を投稿し、中山工場との別れを書き込んでいます。

キヤノン中山工場閉鎖のポイント
キヤノン中山工場閉鎖の経緯とキヤノンの対応
中山工場は、2001年に広東省中山市で設立されました。レーザープリンター関連製品を大量に生産する拠点として整備され、オフィス向けプリンター需要が伸びていた時期を長く支えてきました。のちに生産設備を拡張した新工場への移転も行われ、レーザープリンターやレーザー複合機をまとめて生産する役割を担ってきました。
近年になると、オフィスや自宅での文書管理が電子化され、紙に印刷する機会が少しずつ減ってきました。中国でもこの流れが続き、レーザープリンターの販売台数は、かつてほどの勢いではなくなったと各種調査で示されています。
同じころ、中国ブランドのプリンターや複合機が、価格やラインアップの面で存在感を強めました。企業や個人ユーザーが選ぶ機種の選択肢が増えたことで、海外メーカーのシェアは以前よりも小さくなりつつあります。
こうした動きのなかで、中山工場の受注も減りました。キヤノンは、生産体制の見直しやコスト面での調整を続けてきましたが、工場単体で採算をとることは難しいと判断し、2025年11月21日を最後に生産と操業を停止しました。
稼働停止前、中山工場で生産されたプリンターは、すべて海外向けに輸出されていました。中国国内向けに販売される製品は別の流通経路が中心となり、中山工場は海外向け供給に特化した拠点となっていました。
従業員については、閉鎖に合わせて補償策が案内されています。退職金の支給や、再就職に向けたサポートを行う方針が示され、説明会や個別相談なども実施されています。工場で長く働いてきた人たちに向けて、雇用の移行や生活の組み立て直しを手助けする内容です。
24年間続いた生産拠点としての歩み
中山工場は、ピーク時に数千人規模の従業員が働いていたと報じられており、世界各地に向けたレーザープリンターの供給拠点として位置づけられてきました。
工場周辺には、従業員向けの住宅や飲食店、サービス業などが集まり、工場の存在に合わせて地域の産業も広がっていきました。レーザープリンターの出荷の積み重ねとともに、このエリアで暮らす人や働く人の生活も動いてきたことがうかがえます。
閉鎖が決まったあと、工場で過ごした年月を振り返る声や、勤務当時の写真を載せる投稿も見られました。24年間続いてきた工場が役割を終えたことを受け止める様子が、さまざまな形で共有されています。
中山工場と中国プリンター市場の変化
| 時期 | 中山工場の様子 | 中国プリンター市場の動き |
|---|---|---|
| 2001年前後 | 中山工場が操業開始。レーザープリンターの生産拠点として本格稼働。 | オフィス向けプリンター需要が拡大期。海外メーカー製の製品が多く出回る。 |
| 2010年代前半 | 設備拡張や新工場への移転を行い、生産能力を高める。 | ビジネス用途の印刷は依然多く、レーザープリンターの導入も続く。 |
| 2020年代前半 | 従業員数は少しずつ減少。輸出向け生産が中心になる。 | 電子文書の利用が広がり、プリンターの販売台数がやや減る。中国ブランドがシェアを伸ばす。 |
| 2025年 | 11月21日で生産を終了し、工場としての役割を終える。 | 各種調査で、中国ブランドのシェア拡大と海外メーカーのシェア縮小がはっきり示される。 |
中山市という工業都市の一面
中山市は、珠江デルタ西側に位置する都市で、製造業が集まるエリアとして知られています。電子機器、家電、機械などさまざまな工場が集まり、広東省の中でも工業の集積地のひとつです。
その中で、中山工場はレーザープリンター分野を支える拠点として長く操業してきました。今回の閉鎖は、プリンター事業の流れだけでなく、中山市の工業地帯で動いている変化の一場面としても位置づけられます。
中国レーザープリンター市場の変化と中山工場閉鎖の位置づけ
中国のレーザープリンター市場では、この十数年でメーカーの構成と出荷台数の流れが変わってきました。
調査会社IDC中国のアナリスト、成雅娜氏の分析では、2025年7〜9月期の中国レーザープリンター市場におけるキヤノンのシェアは3.9%とされています。一方で、中国ブランドの合計シェアは41.5%に達し、国産メーカーの存在感がはっきりと数字に表れています。
同じくIDCなどのデータでは、2025年上半期の中国レーザープリンター出荷台数について、A4レーザープリンターがおよそ317〜318万台、A3レーザープリンターが約27万台とされています。全体の規模は依然として大きいものの、前年からは減少に転じており、少しずつ縮小が続いていることがわかります。
オンライン販売の場面でも変化が見られます。中国の大手ECサイトでは、レーザープリンターの売れ筋として、中国ブランドやほかの海外メーカーの機種が多く並び、キヤノンの製品は以前ほど前面には出ていないというレポートもあります。
こうした数字や売り場の変化が重なり、中山工場の受注は長期的に減りました。工場側は調整を続けたものの、工場単体では経営面の負荷が大きいと判断され、今回の稼働停止が決まりました。
中国ブランドの伸びと生産体制の見直し
中国ブランドのレーザープリンターは、低価格帯からビジネス用途までラインアップを広げてきました。国内メーカーならではの販売網やアフターサービスも整い、法人・個人を問わず選択肢のひとつとして定着しています。
一方で、キヤノンは中国以外にもプリンター工場を持っており、ベトナムやタイなど、ほかの拠点での生産も進めています。中山工場で行っていた一部の生産は、こうした拠点に移される形で引き継がれています。
キヤノン全体としては、プリンター事業に加え、医療機器や産業機器、半導体露光装置などにも力を入れており、事業の軸を複数持つ形で運営を続けています。プリンター事業のなかでも、どの地域でどの製品を作るかという組み立て直しが進んでおり、中山工場の閉鎖もその一環として位置づけられます。
働いてきた人たちに関する情報
工場閉鎖の知らせが出たあと、中山工場の従業員には補償内容が案内されました。現地報道では、退職金にくわえて再就職支援金やサポート窓口を設けるなど、従業員の就労や生活の移行を支える措置が取られていると紹介されています。
中山工場で働いてきた人たちのあいだでは、SNSに「労働関係終了(解除)証明」の写真を投稿し、同僚との思い出や工場でのエピソードを添える人もいます。長く勤めてきた職場が節目を迎えたことを共有する場として、オンライン上での発信も行われています。
補償や再就職支援の具体的な内容は、個々の契約や勤続年数などによって変わりますが、従業員と会社のあいだで説明や手続きが進められており、それぞれが次の働き方を考える段階に入っています。
中山工場閉鎖までの主な流れ
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2010年代前半
設備拡張や新工場への移転を行い、生産能力を高める。世界各地向けにレーザープリンターを供給。 -
2020年代前半
電子文書の利用拡大や市場の変化により、レーザープリンターの需要が少しずつ減る。中国ブランドがシェアを伸ばし、海外メーカーのシェアが小さくなる。 -
2025年7〜9月期
IDC中国のデータで、中国レーザープリンター市場におけるキヤノンのシェアが3.9%、中国ブランド合計が41.5%と示される。 -
2025年11月下旬〜12月
従業員に補償や再就職支援の内容が案内され、退職手続きや相談対応が進む。SNSには退職証明書の写真などが投稿される。
❓よくある疑問と回答(FAQ)
Q1. 中山工場が生産を止めたのはいつですか?
A1. 2025年11月21日に生産と操業を停止しました。工場としての役割は、この日をもって終えることになりました。
Q2. 工場の稼働期間はどのくらいですか?
A2. 中山工場は2001年に設立され、2025年11月21日まで稼働しています。およそ24年間、レーザープリンターの生産拠点として動いていました。
Q3. 工場で作られていたプリンターはどこに出荷されていたのですか?
A3. 稼働停止前の段階では、生産された製品はすべて海外向けに輸出されていました。中国国内向けの販売は、別のルートが中心になっていました。
Q4. 中国レーザープリンター市場でのキヤノンのシェアはどのくらいでしたか?
A4. IDC中国のアナリストの分析では、2025年7〜9月期の中国レーザープリンター市場におけるキヤノンのシェアは3.9%とされています。一方、中国ブランドの合計シェアは41.5%とされています。
Q5. 従業員への補償はどのように行われていますか?
A5. 各社の報道によると、退職金や再就職支援を含む補償策が提示されており、説明会などを通じて内容が案内されています。詳細は勤続年数や所属によって異なりますが、法令に沿った形で実施されていると伝えられています。
総合要約表:主なポイントの整理
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 工場の概要 | 中国・広東省中山市にある「キヤノン(中山)事務機」がレーザープリンターなどを生産。2001年から稼働。 |
| 稼働停止 | 2025年11月21日に生産と操業を停止。24年間の歴史に区切り。 |
| 市場の変化 | レーザープリンター需要の減少と中国ブランドのシェア拡大が進行。 |
| シェアの数字 | 2025年7〜9月期、中国レーザープリンター市場でキヤノンは3.9%、中国ブランド合計は41.5%とされる。 |
| 生産の行き先 | 稼働停止前は、中山工場の製品は全量が海外向け輸出。 |
| 従業員への対応 | 退職金や再就職支援などの補償策が案内され、SNSには退職証明書の投稿も見られる。 |
| 今後の生産体制 | 一部生産はベトナムやタイなど他拠点に移され、キヤノン全体の生産体制の見直しが進んでいる。 |
産業構造の変化としての中山工場閉鎖
キヤノン中山工場の閉鎖は、中国のレーザープリンター市場で起きている変化と同じ時期に進みました。
IDC中国のデータに示されているとおり、中国ブランドのシェアが4割を超える水準まで広がる一方で、海外メーカーのシェアは一桁台まで下がっています。プリンター市場そのものも、出荷台数が少しずつ減る流れにあります。
そのなかで、キヤノンはプリンター生産を複数拠点に分散し、生産の中心を移す動きを続けています。中山工場の閉鎖は、こうした生産体制の組み替えと、市場環境の変化が重なった結果として位置づけられます。
中国では、プリンター以外の分野でも国内ブランドの存在感が高まっており、各国メーカーがそれぞれの強みを整理しながら事業の構成を見直しています。中山工場の24年間は、その一部分を具体的に示す事例として記録されています。
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